50代になって「階段がきつくなった」「重い荷物を持つのがしんどい」…そんな変化を感じていませんか?
その原因、もしかすると サルコペニア(加齢性筋肉減少症) かもしれません。
サルコペニアは加齢とともに筋肉量が減少し、体力や生活機能が低下する状態を指します。肥満のまま筋肉が減る「サルコペニア肥満型」は、生活習慣病や要介護リスクをさらに高めるため要注意です。
この記事では、50代男性がサルコペニアを予防・改善するための食事・栄養戦略を中心に、運動のコツや日常生活での工夫を開設します。
サルコペニアとは?50代で急増する理由
サルコペニアは「筋肉の量と質」が低下する病気で、特に50代以降で加速します。原因は主に以下の3つです。
- 加齢による筋肉合成能力の低下
- 運動不足(筋肉を使う刺激が減る)
- 栄養不足(特にタンパク質とビタミンD)
この3つが重なると、体重は変わらなくても筋肉だけが減り、基礎代謝が落ちて太りやすくなります。
肥満でもなる「サルコペニア肥満型」とは?
「太っている=筋肉はある」と思っていませんか?
実は、脂肪が多く筋肉が少ない状態を「サルコペニア肥満型」と呼びます。見た目は大柄でも、筋肉量が不足しているため基礎代謝が低く、同年代よりも体重が減りにくく、生活習慣病や心疾患のリスクが高いのが特徴です。
特に50代は、若い頃と同じ食生活(糖質多め・たんぱく質不足)を続けていると、脂肪だけが増え、筋肉は加齢とともに減少します。その結果、「痩せにくい」「疲れやすい」「ケガしやすい」というトリプルアクセルに陥ります。
ダイエット目的で食事を減らすだけだと、脂肪より先に筋肉が失われる危険性も。これを防ぐには、たんぱく質を十分に摂りつつ、筋肉を使う運動を組み合わせることが重要です。
つまり、サルコペニア肥満型は「放置すれば太ったまま老化が加速する」状態。逆に、筋肉を増やせば代謝が上がり、ダイエットの成功率も一気に高まります。
症状別Q&A|こんなときどうする?
Q1. 最近、階段を上ると膝が痛くなる。サルコペニアですか?
膝の痛みは、関節の老化だけでなく太ももの筋力低下が原因の一つです。特に大腿四頭筋が衰えると、膝関節への負担が増え、階段や坂道で痛みを感じやすくなります。肥満体型の場合、体重が膝にかかる負荷は1歩で体重の3〜4倍に達するため、筋肉のサポートがないとダメージが蓄積します。
改善法:膝を傷めない範囲で軽いスクワット(膝はつま先より前に出さない)、椅子からの立ち上がり運動、かかと上げを1日5分程度からスタート。痛みが強い場合はプールウォーキングや自転車運動など、膝に負担の少ない運動もおすすめです。
Q2. 体重は減ったのに、お腹周りが変わらない
この状態は「筋肉より脂肪の割合が増えている」可能性が高いです。特に食事制限だけで体重を落とすと、脂肪よりも筋肉が先に減少し、基礎代謝が下がってしまいます。その結果、体重は減っても内臓脂肪は残り、ウエストサイズはあまり変わらないことがあります。
改善法:タンパク質を体重×1.2g/日を目安に摂取し、週2〜3回は腹筋や背筋を刺激する運動をプラス。特にプランクや膝つき腕立ては、自宅で簡単にでき、姿勢改善にも効果的です。体重だけでなく、筋肉量や体脂肪率を定期的に測定すると進捗がわかりやすくなります。
Q3. プロテインを飲めば筋肉はつきますか?
プロテインはあくまで食事の補助であり、飲むだけでは筋肉は増えません。筋肉を増やすには「栄養+運動+休養」の3つが揃う必要があります。特に50代以降は筋肉合成能力が低下しているため、同じ運動量でも若い頃より成果が出にくくなります。
改善法:プロテインは朝食や運動後30分以内に摂ると効果的。大豆由来(ソイプロテイン)は吸収がゆるやかで、血糖コントロールや満腹感にも有効。筋トレとセットで活用することで、筋肉合成のスイッチを効率的に入れることができます。
Q4. 運動が苦手で続かない
「運動=ジムやランニング」と考えるとハードルが上がりますが、筋肉は日常生活の動作でも鍛えられます。通勤や買い物で歩く、階段を使う、家事の合間にスクワットやストレッチをするだけでも立派な筋トレです。
サルコペニア予防に必要な栄養素
1. タンパク質(筋肉の材料)
筋肉は水分の次にタンパク質で構成されており、まさに筋肉の“材料”です。50代になると筋肉合成能力が低下し、若い頃と同じ量では不足しがち。目安は「体重1kgあたり1.2g」。例:70kgなら約84g/日が必要です。
不足すると…筋肉分解が進み、基礎代謝が低下。さらに免疫力も落ち、疲れやすくなります。
食品例:鶏むね肉、卵、魚(鮭・マグロ・サンマ)、大豆(豆腐・納豆・豆乳)、乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ)
※卵はゆで卵がたんぱく質吸収には最適です。

工夫ポイント:一度に多く摂らず、朝昼晩に分けて摂取。朝に卵+ヨーグルト、昼に肉や魚、夜に豆腐や納豆など、分散させることで吸収効率が高まります。
2. ビタミンD(筋肉と骨を守る)
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、骨だけでなく筋肉の働きにも影響します。近年の研究では、ビタミンD不足が筋力低下や転倒リスク増加と関連していることがわかっています。
不足すると…骨密度低下、筋肉の収縮力低下、免疫機能の低下が起こりやすくなります。
食品例:鮭、サンマ、イワシ、卵黄、きのこ類(特に干ししいたけは日光に当てるとビタミンD量が増加)
工夫ポイント:週に2〜3回は魚料理を取り入れ、1日15分程度の日光浴を習慣に。デスクワーク中心の方はサプリメントも検討を。
3. ミネラル(筋肉の働きをサポート)
カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラルは筋肉の収縮・神経伝達・エネルギー代謝に関わる縁の下の力持ちです。
不足すると…足のつり、疲労感、集中力低下、回復の遅れが起きやすくなります。
食品例:カルシウム=乳製品、小魚、海藻類/マグネシウム=ナッツ、豆類、玄米/亜鉛=牡蠣、赤身肉、カシューナッツ
工夫ポイント:朝にヨーグルト+ナッツ、昼に海藻サラダ、夜に小魚や豆料理など、1日の中で複数のミネラル源を組み合わせるのが理想。
4. オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA・ALA)は炎症を抑え、筋肉の分解を防ぐ作用があります。特に内臓脂肪の多い50代男性には、生活習慣病予防の面でも重要です。
不足すると…筋肉の回復が遅れ、関節痛や慢性炎症のリスクが高まります。
食品例:サバ、イワシ、サンマ、マグロ、アマニ油、えごま油、クルミ
工夫ポイント:魚は週2〜3回を目安に。アマニ油やえごま油は加熱せず、サラダや納豆にかけて摂ると酸化を防げます。
ダイエット中にやってはいけないこと|サルコペニア予防の観点から
ダイエット中にやりがちな行動の中には、サルコペニアを悪化させるものもあります。50代で筋肉を減らさず痩せたいなら、以下の点に注意しましょう。
- 極端な糖質制限 糖質ゼロにするとエネルギー不足で筋肉が分解されやすくなります。低GI食品を選びつつ適量は摂取しましょう。
- タンパク質不足 体重×1.2gのタンパク質は最低限確保。肉・魚・卵・大豆製品を毎食に。
- 有酸素運動だけに偏る 長時間の有酸素運動は筋肉の分解も促します。筋トレと組み合わせることが必須。
- 短期間での急激な減量 急激な減量は筋肉を優先的に失いやすく、リバウンドの確率も上がります。月−2〜3kgを目安に。
- 睡眠不足 成長ホルモンの分泌が減り、筋肉合成が阻害されます。7時間以上の睡眠を確保しましょう。
運動と組み合わせるサルコペニア対策
自宅でできる筋トレ3選
- 椅子スクワット(10回×2セット)
- かかと上げ(15回×2セット)
- 壁腕立て(10回×2セット)
これらを週3〜4回実施すると効果的です。
道具もいらず継続できる内容なので、まずはここからで十分です。
有酸素運動+筋トレのバランス
サルコペニア予防とダイエットの両方を狙うなら、有酸素運動と筋トレの組み合わせが理想です。それぞれの役割は次の通りです。
- 有酸素運動:脂肪燃焼、心肺機能の維持、血流改善
- 筋トレ:筋肉量の維持・増加、基礎代謝アップ、関節の安定
頻度の目安:週3〜5回の有酸素運動+週2〜3回の筋トレ
時間の目安:有酸素運動は1回20〜40分、筋トレは1回20〜30分
順番:筋トレ→有酸素運動の順がおすすめ。筋肉に刺激を入れてから有酸素を行うと、脂肪燃焼効果が高まり、筋肉の分解も抑えられます。
具体例(50代初心者向け):
- 月・木・土:自宅でスクワット10回×2セット+腕立て(膝つき)10回×2セット後、ウォーキング30分
- 火・金:ウォーキングまたは軽いジョギング20〜30分
注意点:肥満体型や膝・腰に不安がある方は、ジョギングよりもウォーキングやエアロバイク、水中ウォーキングがおすすめです。無理な強度や長時間運動は筋肉分解を招くことがあるため、最初は軽めから始めて徐々に時間や回数を増やしましょう。
このバランスを保つことで、心肺機能を維持しつつ筋肉を守り、効率的に脂肪を減らすことが可能になります。
日常生活でできる筋肉維持習慣
- エスカレーターではなく階段
- 通勤で一駅歩く
- タンパク質を各食に分けて摂る
- 7時間以上の睡眠を確保
まとめと次に読むべき記事
サルコペニアは50代から加速する筋肉の減少症。
予防のカギは「高タンパク食+ビタミンD+適度な運動」。
今日からできること:
- タンパク質を体重1kgあたり1.2g摂取
- 週3回の軽筋トレ
- 日常での小さな運動習慣
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